非有機生命体がいたっていいだろ？

-偽総研的幻獣辞典第六夜-

地球上の生命体っていうのは炭素を主な構成元素とした存在である。
しかしなんで炭素でないといけなかったんだろうな？

理由はいろいろあるけどさ。
炭素って言うのは4属元素だ。4属元素というのは原子の一番外側に
電子を4つ持っている元素のことを言う。

で、原子ってのは外側の電子の数を2や8といった0属元素に近い値に
近づけたいという性質を持つのだ。
そのため炭素原子の場合、どこかから4つの電子を持ってくると
安定状態になるので都合がいい。
あるいは4つの電子を渡してしまってもいいけど。

実はこのことこそが炭素が生命の基本構成元素である理由なのだ。
炭素は4つ接続箇所を持つ。
他の元素、例えば窒素の場合は3つの電子を要求する性質を持つので
炭素より自由度が下がる。

で、4属元素の中で一番小さいのが炭素である。珪素ですら大きすぎる。
原子のサイズが大きいと自由度がまた下がる。

…ということは生命が炭素由来なのは偶然ではない、もはや必然！

けどさー。

超ロボット生命体もとい金属原子を基本とした生命体だって、
存在したっていいような気もするぞ。
金属で骨格が構成されている生命体。
電気的なエネルギーで稼動するような生き物のような機械のような。

地球上では実はすさまじく不利なんだがな。
なんせ地球には膨大な量の酸素がある。こいつが金属とものすごく結びつきやすい。
人間の体ですら活性酸素で細胞膜壊れるんだ。
機械の体の生命体にとっちゃ母なる星地球は地獄。
つまり、酸素がない状態の惑星であることが望ましい。

それはさておきこういう生命体が存在しうるかどうかには、一個致命的な問題がある。
自己組織化が可能か？という問題。

かつてデカルトは「生命は機械である」と語った。
しかしそれを聞いたエリザベス一世はこういったといわれている。
「だったらその時計に子供を産ませなさい」

そもそも生命の根源は自然発生した可能性が高い。
金属を中心とした生命体が自己発生する可能性はさすがに低いといわざるを得ない。
なぜなら金属元素の自由度はどう考えたって炭素に比べて低いからだ。

つまり、何者かが自己増殖、自己保全、自己進化を遂げる機械を
つくって、それが繁殖できる環境におかなければならない。

光合成植物の代わりに太陽エネルギーで発電、成長する機械木や、
それを喰らう機械。さらにその機械を細かく分解する機械。

少なくとも太陽系にそんな環境ない。
もし機械生命体がいるとしたら、かつて何者かが機械生命体を野に放ち、
そいつが進化に進化を重ねて生き延びたとしたら、だ。

その機械生命体が生き延びるために必要なものはなんだろうか？
かつて地球を5度の大絶滅が襲った。
生命はそれでも生き延びた。何故だ？

生命というのは生きようとして生きていると思う。
生きようとして、生きて、それでも死んでしまう。
…それはまあ、生きる意志ってやつか？

機械生命体がいるとして、生存しているとしたら、それは
生きる意志を持った存在であるということではなかろうか。

ところで話は変わるが、UFOっていますよな。UFO。謎の円盤。
あれって実は機械生命体だったりして。

まあ機械だし、恒星間移動可能だとしよう。
技術、というか進化も進んでるからワープだって可能だと。
それで彼らは宇宙中を移動していると。

そんな機械生命体が地球に新天地を求めてやってきたとしよう。
なんかよくわからないけど「生物」がいっぱいいる。
すばらしい…がしかし。

その生物の環境は機械生命体には地獄。悪夢。ヘルアンドナイトメア。
そう、彼らは地球に移住することはもう不可能だと悟ったかもしれない。

そんな彼らに出来ることは、未確認生物の発見と観察くらいだった。
ところが彼らに唯一の誤算があった。

人間の存在。
まさか彼らは自分たちにそんなに興味を持つ連中がいるとは
思わなかっただろう。

アレだ。UMA観察しに来たUFOが観察される側になってしまったと。
動物園に行ったのにペンギンに観察される人間、と同じような
なんとも悲しい結末だったと。

ていうか考えようによってはUFOがUMAかもしれないなと。
…全部妄想だけど。
もし機械生命体なんてのが現れるとしたら、人間が作る時だろうな。
もっとも他の誰かが作った可能性もあるかもしれない。

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